9月に入り、まだ残る夏の暑さの中ではありますが、虫たちが奏でてくれる優しい音色に、秋の気配を感じる頃になりました。
暑い夏が過ぎても、身体のだるさを感じたり、原因がはっきりせずに、何か不安で疲れやすかったり、心がモヤモヤして重くなったりする、そういう方が多くみられるような気がいたします。
最近は、心を浄化するという言葉を耳にするようになりました。
心を見つめる方が、増えてきていると感じております。
心を浄化する方法として、モヤモヤを言葉にしたり、紙に書いたり、自然の音や音楽を聴く、深呼吸する、瞑想する、感謝の気持ちを持つなど、効果があると言われております。
他にもあると思いますが、その数ある中から、今回は、転生輪廻の教えを説かれたお釈迦様が語られた、心の浄化について、お話させていただきたいと思います。
いかにして、心を浄化し。純粋化するか、ということが、お釈迦様の日常の教えの中心であったようです。
その考えのもとにあったのは、この世で肉体を持ち生活していると、人の心は様々に汚れてくるもので、その汚れを反省によって浄化することにより、汚れが魂の生地に染み込まないようにし、きれいな魂のままで、この世を去ることが大事なのだということでした。
お釈迦様は、天国に無事に還れるように生きなければならないこと、また、この世での生き方や心のあり方と、あの世に還ってからの生き方は、同じものとなり、貫かれることを説かれています。
天国へ還れず、地獄に落ちてしまうような支配的な考え方や、心の持ち方というものを点検して、取り除いていくことが大切であり、心を浄化するために必要なことであるということですね。
お釈迦様が、心の浄化のために、点検することの一つ目として、恐怖から自由になることが説かれております。
天国に還れず、地獄に行ってしまった人の心を支配しているものは、恐れであり、そこは恐怖の世界であります。
その人達の世界では、繰り返し恐怖が襲ってきたり、生み出されていたりするわけです。
現代でも、自分の胸に手を当てて、心の中を深く見つめていると、誰でもその奥に、何らかの恐怖心を持っているのではないでしょうか。
その恐怖心とは何なのでしょう?
例えば、職を失うのではないか、病気になるのではないか、夫婦関係、親子関係、人間関係がうまくいかないのではないか、そういう不安からくる恐怖を持っていたりします。
ご自分の心の中には、どのような恐怖がありますか?
おそらく、恐怖心の中で最大のものは、死ぬことなのではないでしょうか。
しかし、どのような人であっても、いずれは死を迎えることになっています。
そこは逃れることができないのであれば、この恐怖のままに、一生を送ることは、もったいないことだと思いますよね。
そうすれば、この恐怖心を克服するには、いったい何が必要なのでしょうか。
お釈迦様は、「目に見えない尊いものを信じること、いつも仏様は慈悲の心で包んでくださっていること、あの世があり、人は死ぬと新しい生命に生まれ変わり、何度も転生輪廻を繰り返していることを信じることで、死の恐怖を乗り越えることができる。
また、私達には、仏様と同じ性質が宿っており、仏様を信じてお祈りすると、多くの光が与えられ、困難を乗り越える力が湧き上がってくることを、信じることが大切だ」と説かれてもおります。
では、恐怖心の反対にあるものは、いったい何でしょうか。
それは心の安らぎであり、平安であるということです。
一日のうちに、心の安らぎというものを、考えたことがあるでしょうか。
恐怖心を取り除くために、その対極にあるものが、心の安らぎであるということです。
心の安らぎや、心の平安といわれるものは、お釈迦様の説かれた涅槃の境地のことなのです。
この世において、安らぎのうちに生きた人は、死後も安らぎの世界に行くことになります。
また、高所恐怖症のように、高い所が怖い人もいますし、水に入るのも怖い、火を見るのも怖いという人がいます。
こういう場合は、過去世において、高い所から落ちてしまったり、水に溺れたりして亡くなった経験のある人が多いようです。
過去世から世紀を経て、引きずっている恐怖があるなら、今世において、できる限り克服していくように心がけたいものです。
恐怖を乗り越えて、安らぎの心を持っていると、波長が合わないため、地獄である恐怖の世界へ行くことはありません。
心の世界の中において、恐怖を支配する世界に引っ張られず、そこから離れ自由になることを求め、仏様の御慈悲を信じて、心を浄化させていき、皆様の人生が光り輝く人生となりますように、心よりお祈り申し上げます。